小澤 恵美子さん

御師の宿坊を支える

 私がここ(筒屋)に来たのは、26歳の時でした。その時は、「富士講」のこととかも全くわからないままお嫁にきましたが、その頃が懐かしいですね。富士講の方たちは、主に山開き(7月1日)から山終い(8月26日)の間にここに訪れます。その他にも、成田山、東京の深川、高野山の方もよく来てくれますね。今こちらを利用している「講」はだいたい5~6ぐらいあります。それぞれ山に登る日は異なりますが、多い方では、1年で11回も来てくれました。

 昔は富士講が栄えていたので、御師の家は80軒くらいありました。でも、今ではうちと大黒屋さんだけになってしまいました。(営業はしていませんが、古くから親交のある「講」を受け入れている御師の家はまだ存在しています。)私も年をとってしまいましたが、昔から来てくれている人、最近来てくれるようになった人たちに喜んでもらいたいので頑張らなきゃなと思いますね。最近は、外国の方も興味を持ってうちに来てくれるようになり、何度か利用してもらいました。言葉は全然わかりませんでしたが、ジェスチャーでのやりとりだけでも楽しかったですよ。

 最近は、市から「御師の料理」でなにかできないかという話があり、慶応大学の方との連携事業「御師ごはん筒屋」を実施しました。学生のみなさんがチラシを配ってくれたおかげで、沢山の人が来てくれました。みんなで料理の作り方や味の感想についておしゃべりしたので、料理教室みたいで楽しかったですよ。最近では、こういう御師の文化を守っていきたいという若い人たちも出てきたので嬉しいです。

 今後も、筒屋に来てくれた人がいつも喜んでくれるように一生懸命頑張って、ずっと続けていきたいと思います。ただね、私は難しく考えないでやっているのよ。長く続けるためには楽しく笑いがなきゃいけないからね。みんなも気軽に遊びにきてね。