後藤 真一さん

味の決め手は丸甲味噌

 丸甲味噌は、昭和16年から営業をスタートしました。最初は大豆を使って油をしぼることが中心だったんですが、次に醤油もできないかということになり、そして味噌もつくるようになったんですよ。私が小学校6年生の時に、父親から「お前継ぐか?継がないか?」っていわれて流れで「うん」って言っちゃったんですよね。そして、いつの間にか父親の跡を継ぐことになっちゃったんです。私が始めた頃は、従業員のおじさんたちに言われた通りにしていたんですけど、ちゃんと教わったわけではないので、本当に難しかったですね。実際、一度大きな失敗をしてお米を1トン無駄にしてしまったこともありました。今はどんな状況でもちゃんと作れるようになりましたけど、30年かかりました。

 富士吉田周辺の「吉田のうどん屋」は、結構うちのお味噌を使ってくれていますが、いつから使ってくれているかはわからないんですよね。別に売り込みに行ったとかでもなくて。でも、このお味噌が吉田のうどんのスープにピッタリということで使っていただいていますね。昔ながらの作り方を守って、昔ながらの味を大事にしているうどん屋さんに認めてもらえるのはうれしいことです。私もよく食べに行きますが、本当においしいなって思います。現在一番多く消費されるうどん屋さんでは、1週間で、12kg購入していきますね。

 話は変わりますが、うちの味噌は、「地味噌」なんですよ。「地味噌」は、地元のお豆を使って、火にかけないで1年寝かして自然なかたちでおいておくんですよ。本当は1年半おいておきたいんですけどね。サイクル的なものを考えて1年で仕上げています。昔からの田舎のおばあちゃんちの作り方をそのままに再現しています。多少は機械化されているところはあるんですけど、基本的に製造方法は一切変えていません。効率をよくすればもっといろんなことができると思うんですけど、お味噌の作り方を変えるつもりはないですね。

 私も60歳までは頑張って働こうと思っていますけど、実は後継者がいないんですよ。あと6年は大丈夫ですけど、きっとあっという間だと思いますね。とりあえずは今のままでいこうと思っていますけど、こういう話をしているとさみしくなりますね。前向きにいかなきゃだめですね。ひばりが丘高校のうどんコロッケはいい発想だとおもいましたね。うちのお味噌を使ってくれているって聞いたんですけど私はまだ食べたことがないのでぜひ食べてみたいですね。高校生のうちから吉田のうどんを盛り上げようという意気込みが素晴らしいですね。がんばってもらいたいと思っています。