和光 信雄さん

火祭りのプロフェッショナル

 「火祭り」の大大松(おおたいまつ)を作り始めてから、かれこれ70年近くになります。その年によって作る本数は違いますが、今年は約90本を作ることになりました。去年は、確か85本作ったと思います。年によって作る本数が違うのは、その年によって参加する企業(スポンサー)数が違うからですね。今年は、7月12日から8月12日までの1か月間で作らなければなりません。たしか、一昨年は1か月半くらい期間があったのでもう少し楽でした。期間が短くなったのは、大大松を少しずつ設置するのではなく、まとめて設置するようになったからですね。

 作業としては、1日2本ペースで作ります。見てもらえればわかるように、工程がかなりあって時間がかかるし、作業は2人一組で行わなければ作ることができません。しかも、前準備として木を割る作業がありますが、これがなかなか難しい。割り方が下手だと、まとめにくいし、火の付き方にムラがでてしまいます。もちろん、割った木材の組み合わせ方も大事です。単純な作業なようだけれど、意外と大変なんですよ。もし火をつけている最中に、上からではなく途中から火が吹き出してしまうようなことがあると綺麗に燃えないし、途中で崩れてしまいます。

 だから、この仕事をいきなりするのは難しくて、経験が必要です。もともと木に携わるような仕事をしていれば別ですけれど、そうでなければちょっと無理だと思いますね。しかし、昔からの決まり事で世話人(火祭りの運営などに携わる人)さんもプロではないけど大松明を作らなければいけないんですよ。そして、私たちはその指導もしなければいけません。ただ作るのとは違って人に教えるのは思っている以上に難しいですからね。最近では、この文化についてもっとよく知ってもらえるように、小学生などに作り方を教えることもあるんですよ。

 今ここで作業をしている人は、大抵他の仕事をしています。しかし、この時期になるとこの場所で集まってこの大松作りに集中します。後継者がいないのが悩みの種ですが、この作業場所を提供してくれている木材センターの人たちも少しずつ覚えているので、将来的には何とかなると思います。いつまでこの仕事をできるかわかりませんが、とりあえずできる間は、頑張るつもりです。